【2ch名作】のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」(3)【長編SS】

 

このエントリーをはてなブックマークに追加

520 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 18:40:13.50 ID:aWSpUdyv0 

GPSで藤子大へ向かっていたスネ夫が出木杉からの電話に出ると、
彼が何を言うより早く出木杉の大声が受話器から聞こえてきた。
どうも自分ではなく、別の相手と話しているらしい。

スネ夫(あの言葉……?)

出木杉『スネ夫くんがここへ来て、おまえに見つかるより早く”あの言葉”を言えば僕らの勝ちなんだ。僕らはそれを待つ!』

黒服1『無駄だ。ここにはセンサーがたくさん仕掛けてある。スネ夫が来ればすぐに俺にはわかるさ。
スネ夫に空気ピストルを撃たせることは不可能だ』

スネ夫(出木杉と黒服の会話だ……GPSから見てのび太もジャイアンもしずかちゃんも、出木杉と一緒に奴に捕まってる……)

スネ夫(出木杉は僕に何を言わせようとしてるんだ? ……あの言葉……空気ピストル……そうか!!)

出木杉は自分に「バン」と言わせようとしているのだ。
事情はよくわからないが、おそらく彼らは「バン」と言えない状況にいる。
だから代わりに自分に「バン」と言ってくれと言ってるのだ。

スネ夫(しかし、みんなのいる藤子大には黒服の言葉どおりならセンサーが……そうか、電話越しに叫べば!!)

 

 

536 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 18:42:43.45 ID:aWSpUdyv0

出木杉(頼む、スネ夫くん。「バン」と大声で言ってくれ。そうすれば……)

黒服1「待て」

黒服が出木杉の背中を蹴り上げる。

黒服1「変に説明くさいことを言いやがって。何を企んでる?」

出木杉(頼む!スネ夫くん、言ってくれ……)

スネ夫『バン!!!』

電話からスネ夫の声が聞こえてきた。

 

 

560 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 18:45:07.15 ID:aWSpUdyv0

出木杉(駄目だ……何も起こらない!やはり電話越しじゃ声が小さいんだ!)

黒服1「ふ……電話か。今のはヒヤッとしたぜ」

黒服は出木杉の腹を蹴り上げると、電話を奪った。

黒服1「骨川スネ夫くん、残念だったね。君の声は小さすぎて空気ピストルには届かなかったようだよ。
腹の傷が痛んで大きい声が出せなかったか?」

スネ夫『くっ……』

黒服1「さっさとここへ来い。でなきゃ大事な友達が先に死ぬことになるぜ」

出木杉(だ……めだ……失敗だった)

ジャイアン(くそ、このままじゃ……でも言えねぇ!言ったらしずかちゃんが)

しずか(お願い、わたしのことはいいから「バン」って、誰か言って!!)

スネ夫(くそ、急がなきゃ……けど、行ってどうすればいい?)

のび太(どうすればいい? どうすればいい? 助けてよ、ドラえもん……)

 

 

582 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 18:48:50.89 ID:aWSpUdyv0 

そのときだった。のび太の頭にひとつのアイディアが浮かんだ。

のび太(そうだ、うまくいけば……)

のび太「ねぇ、ひとつ聞いていい?」

黒服1「あ? 何だ?」

のび太「今の時間を教えてほしいんだ」

黒服1「時間だと? …………23時48分だ。それがどうした」

のび太「いや……別に。それより、あのロボットを見たかい?」

黒服1「ああ、あれか。気になってはいたんだ。22世紀のネコ型ロボットに似ている」

のび太「あれは僕が作ったんだ。そして電源は普通のスイッチじゃない」

 

 

596 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 18:50:38.58 ID:MOvXjeWkO

これは支援
>>1の文才には驚いた

 

 

600 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 18:51:27.76 ID:aWSpUdyv0

黒服1「おまえ大丈夫か? もうすぐ俺に殺されるってのに、そんな話をしている余裕がどこにある」

のび太「話しかけてやればいいんだ、それで起動する……」

黒服1「黙れ。死にたいのか?」

のび太「こう言うんだ……ドラえもぉぉぉん!!!!」

のび太が叫んだ。
その声に反応し、DR-1の電源がONになる。
ブゥン、という音とともにドラえもんの鼻が光り……彼はしゃべった。

DR-1「こん”バン”わ。ぼく、ドラえもん」

空塊が黒服の身体を至近距離から吹き飛ばす。
本棚に叩きつけられた黒服男はそのまま気を失った

 

 

621 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 18:53:43.05 ID:aWSpUdyv0 

すぐに駆けつけたスネ夫によって4人は縄を解かれた。
そして、目を覚ましかけた黒服にジャイアンが強烈なラリアットをかまし、
もう道具を持っていないことを確かめたうえでロープでぐるぐる巻きにしておいた。

出木杉「今度こそ……終わったんだね」

ジャイアン「たぶんな」

走って来たせいで手術跡が開いたのか、痛みに顔をしかめているスネ夫をしずかが気遣っている。

のび太はDR-1を眺めていた。
青い、丸い身体。また自分はドラえもんに助けてもらったのか……

のび太(いや、これはドラえもんじゃない……本当のドラえもんは、もう……)

スネ夫「みんな、ちょっとこれを見て!!」

出木杉「どうしたんだい?」

スネ夫「電波障害だ……強い電磁波も感知されている」

ジャイアン「……嘘だろ」

しずか「まさか、まだ……」

スネ夫「しかも、発生源は――ここの屋上だ」

 

 

633 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 18:55:10.93 ID:aWSpUdyv0 

のび太と出木杉がスネ夫とジャイアンにそれぞれ肩を貸して、5人は屋上へと上がった。
屋上は深夜とは思えないほどの光りに満ちている。
空にはぽっかりとタイムマシンの出入り口が開いていた。
そしてそこから出てきたのは……

のび太「タイム……パトロールだ」

スネ夫「戻ったんだ!未来が元に戻ったんだ!」

ジャイアン「何だって!!」

スネ夫「僕らがあいつを捕まえたから……これで僕たちを殺すことは出来なくなって、
タイムマシンの情報は抹殺されない。
そのうえあいつらは焦って未来の道具をたくさん使ってしまったから、それがタイム・パトロールに発見されたんだ!」

 

 

640 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 18:56:23.57 ID:aWSpUdyv0 

タイム・パトロールの巡視艇が屋上に着陸し、中から隊員たちが降りてくる。

隊員「野比のび太くん、剛田武くん、骨川スネ夫くん、出木杉英才くん、源静香さんだね。
タイムテレビで様子は見ていた。協力、どうもありがとう」

スネ夫「歴史は元に戻ったんですね?」

隊員「いや、残念ながら多少の変化が生じてしまった。タイムマシンの発明者が死んでしまったからね……
タイムマシンの発明は、本来の2008年より遅くなることになる」

出木杉「それでも、タイムマシンは完成するんですね?」

隊員「ああ。もともと奴の計画は読みが外れていたんだ。
仮に4次元空間で歴史を変えても我々はそれを感知する極秘機関を4次元空間内に設置している。
あとは彼らが逃げた時代を特定するだけだった……
君たちの思わぬ抵抗に焦った奴らが未来の道具を使ってくれたおかげで、この時代と特定できたんだ」

ジャイアン「でもよぉ、もう少し早く来てくれりゃあ俺たち怪我しなくて良かったのに」

のび太「そう言うなって。これで未来が変わらずに済んだんだからさ」

???「そう言い切るにはまだ早いよ、のび太くん」

 

 

655 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 18:58:07.04 ID:aWSpUdyv0 
のび太はその声に懐かしさを感じた。
いくら近い声を作っても何か違っていた。願っていた声が今、耳に入ってきたのだ。

のび太(そんな、まさか……)

ゆっくりと振り返る。

ドラえもん「やあ、のび太くん。久しぶり……大きくなったね」

 

 

661 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 18:59:08.98 ID:Rj0gF0gbO

ドラえもんキター!!

 

 

662 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 18:59:11.13 ID:DcdHM7uQO

ドラえもん…泣

 

 

693 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 19:01:03.04 ID:aWSpUdyv0

それから数分間のことをのび太はよく覚えていない。
みんなから聞くと「子供のように泣きじゃくっていた」
「『ドラえもん、ドラえもん』と何度も何度も叫んでいた」とのことだ。
どうしてもたどり着けなかった、ネコ型ロボット。
研究しても研究しても作ることの出来なかった無二の友達。
 
それが――ドラえもんが帰ってきたのだ。

ドラえもん「やっぱりのび太くんは駄目なままだね。
君が心配でタイム・パトロールの人に頼んで連れてきてもらったんだ」

のび太「そんなこと……ないよ。僕だってやるときはやるんだ」

出木杉「そうだよ。ドラえもん……僕らはのび太くんにたくさん助けられた。のび太くんはすごいよ」

ドラえもん「それでも、まだまだ駄目だよ」

ドラえもんはクスクスと笑う。
そして、小声でのび太に言った。

ドラえもん「のび太くん、まだしずかちゃんに”好き”って言ってないでしょ?」

のび太「うん……」

ドラえもん「だめだなぁ。君がしずかちゃんと結婚しないと、僕は作られないんだよ?」

 

 

796 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 19:17:59.92 ID:aWSpUdyv0

のび太「え……? それってどういうこと?」

ドラえもん「君には言ってなかったけどね……僕らネコ型ロボットがどうしてこういうデザインになったかわかるかい?」

のび太は首を横に振る。考えたこともなかった。

ドラえもん「今からそれを教えてあげるよ……」

そう言って、ドラえもんは話し始めた。

 

 

823 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 19:22:26.67 ID:aWSpUdyv0

のび太「出木杉くんが?」

ドラえもん「そう。君としずかちゃんが結婚した翌年、出木杉くんに誘われて君たちは再び共同研究を始める。
研究のために君は多額の借金をするんだけど、完成間近についに資金が底を付いて、開発から手を引くんだ。
でも出木杉くんはその後も研究を続け、君が手を引いた2年後、
画期的なAI搭載コミュニケーションロボット『DORA-121』が完成。ノーベル賞を受賞するのさ。
その『DORA-121』は君たちが作ってるこのDR-1のデザインをそのまま使ってる……もう、あとはわかるよね?」

のび太「あのロボットが……。でも、僕としずかちゃんが結婚しないとドラえもんが出来ないってのは?」

ドラえもん「もし出木杉くんとしずかちゃんが結婚したら、君は出木杉くんと共同研究が出来るかい?
出木杉くんと顔を合わせたくなくて、断るんじゃない?」

のび太「……そんな気がする」

ドラえもん「そこへいくと出木杉くんは人間が出来てるから、君としずかちゃんが結婚しても嫉妬せずにのび太くんを研究に誘ってくれるってわけ。
出木杉くん一人じゃノーベル賞まではいけないからね」

 

 

838 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 19:26:08.25 ID:aWSpUdyv0

のび太「そこまでハッキリ言わなくても……」

ドラえもん「まぁまぁ。これは本来の筋書きさ。
僕が未来から来たことで、のび太くんにこらえ性ができる。
その結果、借金が出来た後もノーベル賞こそとらないものの地道な発明を続け、
無事に借金を返すと言うわけさ」

のび太「なるほど……」

 

 

848 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 19:28:15.93 ID:aWSpUdyv0 

タイム・パトロールが黒服の男を連行していく。
黒服の男の持ち込んだひみつ道具も次々と押収されていった。

のび太「ドラえもん……もう帰るの?」

ドラえもん「うん……もう役目は終わったからね」

のび太「そっか」

ドラえもん「のび太くん、君は立派な大人だよ。親友の僕が言うんだから間違いない……
それに僕がいなくなったって他に4人も親友がいるじゃない」

のび太「大丈夫だよ、僕は」

ドラえもん「約束だよ、のび太くん。僕を作ってね」

のび太「うん……」

 

 

867 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 19:31:04.99 ID:aWSpUdyv0 

タイム・パトロールが帰っていき、少ししてからジャイアンとスネ夫も病院に向かった。
しずかは二人に付き添っていく。
 
出木杉とのび太の二人だけが屋上に残り、夜空を見上げていた。

のび太「出木杉くんは病院に行かなくていいの? 腕折れてるんじゃない?」

出木杉「あとで行くよ。でも、その前にのび太くんと話がしたくて」

のび太「そっか。僕もだよ」

 

 

878 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 19:32:45.60 ID:aWSpUdyv0

出木杉「帰ってったね。ドラえもん」

のび太「うん」

出木杉「最後に、ドラえもんと何を話していたの?」

のび太「約束をしたんだ。いつか必ず、僕がドラえもんを作るって」

出木杉「……君の作るロボットは、全部ドラえもんだよ」

のび太「え?」

出木杉「いつも思ってた。僕はどうして科学者として君に追いつけないのかって……
勉強は僕の方が出来たのに」

のび太「……………」

出木杉「きっと想像力なんだ。のび太くんは僕には思いつかないようなことを思いつく。
それはたぶん、ドラえもんといた日々のおかげだよ。
君はいつもドラえもんを目指していたんだ……理屈に絡められすぎた僕には出来ない発想だよ」

 

 

895 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 19:35:48.71 ID:aWSpUdyv0

のび太「……出木杉」

初めて、のび太は出木杉のことを呼び捨てにした。

出木杉「どうしたんだい、のび太?」

出木杉も、初めてのび太を呼び捨てにする。

のび太「しずかちゃんのこと、譲らないよ」

出木杉「そう……。これで僕も本気を出せる。今までは、変に遠慮してたんだ」

のび太「手加減なしだよ」

出木杉「望むとこだよ。君には負けないさ」

少し、沈黙。

のび太「助手になったのは僕が先だろ?」

出木杉「ただの人手不足って言ってなかった?」

お互い、ニヤリと笑いあう。
子供のころ夢見た未来に、少し近づいてる。

そんな気がした二人だった。

                     ――おわり

 

 

906 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 19:36:41.03 ID:6lHnkJfv0
>>1
乙!!!!
おもしろかったーーーーーーーー!!!

本にしてくれえええええええええええ

 

 

908 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 19:36:46.52 ID:5qBSFeNx0
>>1乙!!!!
はじめてなのに滅茶苦茶面白かったぞ!!
また、なんか書いてくれよ

 

 

917 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 19:37:03.13 ID:ytgridX1O
>>1
乙と言わずにいられない
お前はよくやったよ


続編はこちら
【2ch名作】出木杉「タイムマシンとか、実際無理だろ」【短編SS】

このエントリーをはてなブックマークに追加

転載元:https://takeshima.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1234507779/

Leave a Comment

メールアドレスが公開されることはありません。