【2ch長編SS】男「好きです。つきあってください」 女「・・・条件がある」(2)

 

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275: 1 ◆I3cgeKYICg 2013/09/29(日) 08:01:50.44 ID:LpZUjjfui

男君達と別れて、家までの道を一人で歩く。
カレーの匂いがする家、楽しそうな笑い声が聞こえる家、
玄関でお父さんに抱きついている小さな男の子。

女「・・・」

私の家は真っ暗でどの窓からも明かりは見えない。
カレーの匂いもしなければ、笑い声も聞こえてこない。

女「ただいま」

玄関で靴を脱ぎ、リビングルームに続く廊下の電気を点ける。

スーパーで買った食料を冷蔵庫に詰め込むとどっと疲れが押し寄せてきて
ソファに横になり目を瞑った。今日は料理をする気になれなかった。

女「楽しすぎると、一人になった時に寂しすぎるじゃない」

友情も愛情もよく分からない。
薄いガラス細工で出来た繊細な芸術品みたいで、
眺めるだけなら問題ないのに触れば壊れてしまいそう。

女「私は上手く出来てるの?教えてよ。ママ」

ガラス細工が壊れるのが怖い。
そして、それ以上に破片で自分が傷付く事が怖かった。

 

276: 1 ◆I3cgeKYICg 2013/09/29(日) 08:03:05.23 ID:LpZUjjfui

翌日
結局、そのままソファで朝まで寝てしまった。
軽くシャワーを浴び眠気を飛ばすと郵便箱に新聞紙を取りにいく。

女「お腹空いたな」

焼いたベーコン3枚と目玉焼きを二つ、それにトースト2枚とオレンジ一つが朝食。

女「行ってきます」

学校に着くと、下駄箱近くで友ちゃんを見つけた。

女「友ちゃん。おはよう」

女友「あー!女っち!」

女「あれ?目が充血してる。」

女友「オールナイトで歌ってたからね!女っち私を置いて勝手に帰ったでしょ!」

女「・・・あ!ごめん。友ちゃん。」

女友「もう!おかげでアユの歌を全曲歌って更にアコースティックバージョンまで歌ってしまったよ。」

女「あはは。アコースティックバージョンて昔騙された事ある」

女友「私も初めて買ったCDのお目当ての曲がアコースティックバージョンだった時はガッカリしたよ」

女「とくにロックは残念よね」

女友「うん、もうロックしてないじゃんてね!ふぅ、女っちはみんなとも私くらいの距離感で接すればいいんだよ」

女「・・・うん。わかってる」

女友「男君と出会って、女っちは変わったよ。良く笑う様になった。」

男君。私に好きって言ってくれた人。真っ直ぐで優しくて強い人。

女「・・・うん。」

 

277: 1 ◆I3cgeKYICg 2013/09/29(日) 08:04:05.73 ID:LpZUjjfui

あの日、昼休みに突然隣のクラスの男君が私の席までくると、放課後の体育館裏に呼び出された。
男君の事を何も知らなかったし、意味が分からなかった。

でも、何かが変わる気がして変われるきっかけが欲しくて体育館裏に向かった。

男「好きです。つきあってください」

そこで、私は生まれて初めて告白された。正直嬉しかった。
初めて世の中に存在を認められた気がした。

でも、同時に中学時代の陰湿なクラスメイト達の顔を思い出してしまった。

この人も、あの人達と同じかもしれない。

女「・・・条件がある」

とっさに出た言葉。

女「私を笑わすことよ」

泣くことの反対、それはきっと笑う事。中学時代に出来なかった事。
この人といて、私が自然に笑える事が出来ればきっと私はこの人を好きになれる。
その時、私はきっと本当の意味で変わる事ができる。

これは、私への課題。

この条件は私が私自身に与えた課題。

 

350: 1 ◆I3cgeKYICg 2013/10/04(金) 20:57:18.43 ID:g113vZ+Ji

俺は電車の中だろうと授業中だろうと、何処までもストイックに笑いのネタを探していた。
昨日のカラオケで女さんとの、わだかまりは消えた。
もう後は笑わせるだけだ。

数学教師「さて、この問題を・・・そうですねぇ。生徒あさん。答えて下さい」

生徒あ「・・・、前方後円墳、ですかね」

数学教師「違います。えー、では後ろの席の委員長さん。答えて下さい」

委員長「36です」

数学教師「正解。えー、このように・・・」

とはいえ、そんなに面白いネタなんてそうそう転がってるはずもない。
いやまてよ?ネタ(寝た)だけに転がってるかも。

男「ふ、ふふ。これ使えるかも」

数学教師「では、この問題を男君。答えて下さい。」

しまった。完全に聞いていなかった。
黒板には訳の分からない数式が書かれている。
ここは適当に

男「・・・前方後円墳ですかな」

数学教師「違う」

 

351: 1 ◆I3cgeKYICg 2013/10/04(金) 21:27:25.55 ID:g113vZ+Ji

休み時間
友「お前さぁ、ヤバいぜ?ちょーヤバイぜ?」

数学が終わると友が俺の席にすっ飛んできた。
普段の間抜けたアホヅラからは考えられないほどに深刻な顔をしている。

男「なんだよ?陸に上げられたばかりのチョウチンアンコウみたいな顔して」

友「パクパクって!!どんな顔だよ!」

笑子「あはは!キモーい」

友「ちょ!笑ちゃんそれ酷いわ!陸に上げられたばかりの不安な深海魚に対してそれは酷いわ」

男「分かったから深海に戻れ。お前には太陽の光も届かないほどに暗くスチール缶がペシャンコになるほどの水圧がかかる深海がお似合いなのだ」

友「ちょ!最近の俺の扱い酷すぐる」

 

355: 1 ◆I3cgeKYICg 2013/10/04(金) 22:04:38.93 ID:g113vZ+Ji

男「すまんすまん。で?何がやばいって?」

すると、友は再び深刻な顔をした。何だ?嫌な予感がする。

友「いやな、お前は女さんを笑わしたいんだろ?」

男「ん?まあな」

何だ?唐突に。

友「いいか?よく聞け。一度しか言わない」

男「なんだよ、稲川淳二ばりに脂汗かきやがって。」

友「エジソン、ニュートン、アシモフにアインシュタイン。彼らは偉大な科学者だ。」

男「はぁ?そうだろうな、特にエジソンが偉い人なのは常識だと聞いた事がある。」

友「エッジソンは偉いひ~とぉ!ってやかましいわ」

笑子「あははは!」

何なんだこいつは?少し様子がおかしいぞ?

 

356: 1 ◆I3cgeKYICg 2013/10/04(金) 22:05:18.32 ID:g113vZ+Ji

友「おほん!いいか、彼らにはもう一つの共通点がある。わかるか?」

少し考える。エジソン、アシモフ、アインシュタインにニュートン。彼らに共通するもの、それは

男「ひ、左利きとか?」

友「え?そうなの?それは知らないけど。答えはな、ズバリ、ユーモアセンスがある!って事だ」

友の声にざわついていたクラスが一瞬静まる。

男「本当かよ!」

友「ああ、間違いない!じゃないとリンゴみて重力とか発見出来ない。」

ゴクリ。

男「つまり、何がいいたい?」

友「お前は数学が出来ない。ということは理系ではない。つまり」

そういうと、俺の鼻先に人差し指を突き立てる

友「お前にはユーモアセンスがない!」

笑子「うーん?なんだか論理が飛躍し過ぎな気がするけど」

男「なるほど!分かったぞ!俺の進むべき道がなぁ!」

正直、いまの膠着状態では女さんの大腸がネジ切れる程に笑わせる事は難しいと考えていた。

男「俺に数学教師の弟子になれと、そう言いいたんだな?」

友「そうだ!たぶん!」

差し出した右手を友が握り返した。

男「ありがとう!早速弟子になってくるよ!」

俺は席を立ち、呆然としている生徒を押しのけ職員室に向かった。

友「馬鹿にしに来たつもりだったんだが」

笑子「男は全てを真に受けるからねぇ。」

 

358: 1 ◆I3cgeKYICg 2013/10/04(金) 23:01:52.19 ID:g113vZ+Ji

職員室
職員室に入ると、すぐに数学教師の元に走った。数学教師は優雅にコーヒーをすすっている。

男「先生!お願いがあります!」

数学教師「ん?君は2組の男君だね。どうかしましたか?」

数学教師は椅子を回転させ俺に向き合った。
温和そうな笑みを浮かべ右手でずれた眼鏡を直した。

男「はい。あの、実は悩みがあって、先生ならきっと解決してくれると考えて来ました」

数学教師「悩み、ですか。なるほど、どうしましょうか。ここは沢山の人がいるので何処か空いている部屋にでも行きますか?」

この人は人の話をキチンと聞いてくれる人だ。
きっとどんな悩みでも親身になって聞いてくれる。
何も心配する必要はない、そう思わせてくれる先生だ。

男「いえ!ここで大丈夫です。」

数学教師「そうですか。どんな悩みですか?」

男「俺、昔から人を笑わせる事が好きで、得意だったんです」

数学教師「・・・ふむ。」

男「いつだってくだらない事をして、周囲の人間を爆笑の渦に」

数学教師「男君、話の途中で悪いのですが、その話は悩みと関係あるのですか?」

男「あります!」

数学教師「・・・そうですか。申し訳ありません。続けて下さい」

男「はい。基本的に、俺は体で笑いを取るタイプでした。腹を出したり、尻をだしたり、変顔したり。そういう体を張った一発芸的な笑いが俺の専門分野でした。」

数学教師「・・・なるほど。続けて」

 

359: 1 ◆I3cgeKYICg 2013/10/04(金) 23:09:56.51 ID:g113vZ+Ji

男「ですが、最近それだけでは笑ってくれない人が現れたんです」

数学教師「・・・ふむ」

男「その人のおかけで俺は随分落ち込みました。今までの芸歴はなんだったのか?って自問自答の日々ですよ。はは、笑ってやって下さい」

数学教師「・・・ふむ」

男「最近じゃあ、毎日その人をどうやって笑わせるか?それだけの為に生きてるようなものです。生きてるのか、生かされているのか。それすらも最近じゃあ分からない。」

数学教師「・・・ふむ」

 

360: 名も無き被検体774号+ 2013/10/04(金) 23:10:08.38
続けて

 

361: 名も無き被検体774号+ 2013/10/04(金) 23:24:46.49
見てるよ

 

362: 1 ◆I3cgeKYICg 2013/10/05(土) 00:00:03.79 ID:g113vZ+Ji

数学教師「随分と、深刻な悩みの様ですね」

男「ええ。もう、どうすれば彼女を笑わせる事が出来るのか、良く分からなくなってきたんです」

数学教師は空いている椅子を持ってくると、俺に座るように促した。
さらに、紙コップに粉末のコーヒー豆を入れポットからお湯を注ぎ、俺に渡してくれた。

男「あ、ありがとうございます。」

数学教師「ブラックは嫌いですか?笑いにも多少のブラックは必要ですよ。」

そのまま熱いコーヒーをすする。
ブラックコーヒーは熱くないととてもじゃないが飲めない。

数学教師「人を笑わせるのは、とても難しい。職業として成り立つくらいですからね。」

男「はい」

数学教師「笑いのツボって言葉があります。人にはそれぞれ面白いと感じる現象がある。それは、君が得意な体を張った一発芸を笑う人と笑わない人がいる事でも分かる事です」

男「分かります」

数学教師「貴方は、今まで一度もその彼女を笑わす事が出来ませんでしたか?」

女さんの笑った顔を思い出す。俺は彼女を、何度か笑わせている。
でもどれも、俺が笑わしたというよりは、偶然起こった出来事に笑ったようなものだ。

男「あります。でも、実力ではありません」

数学教師「実力か、そうでないかは今は関係ありません。彼女はどんな事で笑ったか?それが分かれば彼女の笑いの’ツボ’が分かる。違いますか?」

笑いのツボ?

思い出せ、彼女は何に笑っていた?

何が好きで、何に興味がある?

数学教師「沢山の人を笑わすのは難しい。でも、特定の個人ならそう難しいくもない。貴方は彼女の事をまだあまり知らないだけなのではないでしょうか?」

 

364: 1 ◆I3cgeKYICg 2013/10/05(土) 00:20:25.61 ID:+xqO687hi

彼女の事をまだあまり知らない

その言葉が胸に突き刺さる。その通りだ。俺は彼女の事を何も知らない。
好きな食べ物、好きな映画、好きな音楽、好きな家電。何も知らないじゃないか。

数学教師「いいですか?彼女を笑わすには彼女をもっと知る事です。穴だらけの数式では答えがでませんからね。」

男「分かりました」

数学教師「ふふふ。いい顔になりました。ぜひとも美しい数式を用いて素晴らしい解答を導き出して下さい」

男「ありがとうございます。あの、」

数学教師「なんですか?」

男「弟子にして下さい」

思わず口にしてしまった。

数学教師「残念ですが、弟子は取りません。」

やんわりと断られ、俺は職員室を後にした

 

366: 名も無き被検体774号+ 2013/10/05(土) 01:28:38.46
いいねいいね

 

374: 1 ◆I3cgeKYICg 2013/10/05(土) 10:27:18.87 ID:+xqO687hi

昼休み
数学教師の言葉を頭の中で何度も反芻していた。

「彼女を笑わすには彼女をもっと知る事です」

今までの女さんとの会話を思い返しても、
笑わせること前提の会話ばかりで彼女の話をろくに聞いていなかった。
一方通行でひとりよがりな会話ばかりだった。
会話とも言えないものだったのかも知れない。

笑子「どうしたの?真剣な顔して。ご飯食べないの?」

男「笑子、知るってどういうことだと思う?」

笑子「え?知る?唐突だなぁ。うーん」

笑子は腕を組んで首を傾けた。こいつが何かを考える時の癖だ。
小学生の頃からか進歩がない。

笑子「例えばさ、徳川埋蔵金が何処にあるかってまだ誰も知らないよね」

男「埋蔵金?知らないなあ」

笑子「ある日男の押入れの奥から徳川埋蔵金の地図が出てくるの。そしたら男は徳川埋蔵金を発掘できるよね」

男「なんの話だよ」

笑子「でもさ、男が徳川埋蔵金の在処を知ってる事が周囲にばれたらどうなると思う?多分狙われるよ、下手したら殺される」

突然物騒になったな。こいつは何を言いたいんだ?

笑子「知る事で宝物が手に入るかも知れないけど、その分リスクも伴うの。」

男「・・・そんなに大変な事なのかよ」

笑子「知らなければ良かったって良く聞くでしょ?そういう事も多いんじゃないかな?」

 

375: 名も無き被検体774号+ 2013/10/05(土) 11:34:11.39
神スレ

 

376: 1 ◆I3cgeKYICg 2013/10/05(土) 11:47:36.27 ID:ZCJpgZB9i

男「・・・知らなければ良かった事」

女さんは実は男性だったとか、キューティーハニーだったとか。
もしくはマフィアに雇われて俺を殺しにきた殺し屋なのかもしれない。

笑子「な~んてね、あははは。って、男?どうしたの?深刻な顔して。」

男「いや、いいんだ。女さんが男性でも、正義の味方でも殺し屋だって構わない。」

笑子「え?」

男「俺は女さんの腹筋を崩壊させる!その為なら・・・俺は死ねる」

新たなる決意を胸に、俺は弁当箱を掴み教室を後にした。

友「ん?笑ちゃん、男の奴どうかした?妙に悲壮感漂ってるっていうか」

笑子「あ、はは。し~らない。あーお腹減った~」

 

379: 1 ◆I3cgeKYICg 2013/10/05(土) 14:24:15.09 ID:ZCJpgZB9i

隣のクラスのドアを開ける時、柄にも無く緊張してしまった。

もし、本当の女さんを知ってしまった時、俺はそれでも笑わせる事が出来るのか?
そして、俺は女さんを好きでいられるのか?

誰にでも人には見せない裏の顔がある。
アニメおたくだったり、鉄っちゃんだったり、露出狂だったり、シャブ中だったり、
ジャックザリッパーだったり。

本当に人を好きになるなら、本当に女さんを好きになる覚悟あるのなら、
受け入れなければいけない。

知ってしまったら、もう知らない頃には戻れない。
後には引き返せないんだ。
政治家じゃないんだ、知りませんでしたは通用しない。

男「・・・だったらどうした!」

手に再び力を入れ、思い切りドアをスライドさせる。

バーン!

大気をつんざく程の爆音に騒がしかった生徒達は一斉に黙り込み、
目を丸くすると俺に注目した。
女さんは窓側の席に一人で座っていた。

男「女さん!俺は、女さんの全てが知りたい!隅から隅まで余すところなくだあぁぁぁぁあ!」

 

381: 1 ◆I3cgeKYICg 2013/10/05(土) 15:00:09.47 ID:ZCJpgZB9i

生徒指導室
担任「・・・」

体育教師「・・・」

隣の担任「・・・」

校長「・・・」

男「・・・」

生徒指導室に呼ばれたのは2回目だ。
俺の魂の叫びを聞きつけた体育教師に取り押さえられ、そのまま連行された。

担任「・・・女の気を引くにしても、やり方ってものがあるだろ」

隣の担任「照れちゃうというか、引いちゃうわね」

体育教師「流石に今回は笑えん」

校長「確かに他のアプローチをしなさいと言いましたがこれほどとは・・・」

空気が重い。

男「すみませんでした。反省します」

校長「・・・うむ。この話は全校生徒に説明するよ。とても大切なことだからね。いいね?」

男「え?これも大切な話ですか?」

担任「・・・当然だ」

それから俺は道徳の話をクドクドとされ、2時間後に釈放された。

 

382: 名も無き被検体774号+ 2013/10/05(土) 15:26:03.25
校長先生が面白すぎwwww

 

383: 1 ◆I3cgeKYICg 2013/10/05(土) 15:41:45.10 ID:ZCJpgZB9i

生徒指導室
隣の担任「私、今回の件で男君よりも驚いた事があるんです」

担任「なんです?」

隣の担任「ドアです。あんなに大きな音がするなんて」

体育教師「あー、たしかに凄い音がしましたねぇ。でもおかげですぐに駆けつけることが出来た」

隣の担任「何だかおかしくて。」

校長「全ての生徒はよその子供。私達は学校という施設の職員に過ぎません。これからは一歩引いた視線で見守って行きましょ」

三人の教師「はい」

 

404: 1 ◆I3cgeKYICg 2013/10/06(日) 23:31:01.04 ID:DFeN04l8i

生徒指導室から教室に戻ると、クラスの連中が俺を見るなり笑いだした。

「キターーー!変態窓枠男!」
「映画化キボンヌ」
「生徒指導室に何度も行くなんておまいはDQNでつか」
「安価行動乙」

何とでも言うがいいさ。そんな薄っぺらな言葉では俺の心は動じない。
まとわりつくクラスメイトを押し退け席についた。人気者の辛いところだ。

生徒あ「同じクラスメイトとして恥ずかしいよ」

男「なんだとこの野郎!」

生徒あの心ない言葉に頭に血が上り、思わず大声を上げてしまった。

笑子「ま、まあまあ。男、おちつこ?席にすわろ?」

男「あ、ああ、すまん。つい。」

友「お前らもあんま、からかうなよ?こいつは今ナーバスなんだからな」

 

405: 名も無き被検体774号+ 2013/10/06(日) 23:48:17.81
なんだなんだ
思ってた以上に面白いぞ

 

410: 1 ◆I3cgeKYICg 2013/10/07(月) 01:08:22.76 ID:YH8NXqbVi

友「くくくく。お前の馬鹿デカイ声と来たら、廊下の端から端まで聞こえてたらしいぜ?」

男「反省してる。こっぴどく怒られたからな。お前は真似すんなよ」

友「しねーよ!」

笑子「あははは。でも、男よりも女さんの方が恥ずかしかったと思うよ?謝んないと駄目だよ」

男「うん。後で謝る。はぁ、俺は馬鹿だよな、後先考えずに行動しちゃうんだもの」

思わず頭を抱えてしまう。もう少しゆっくりドアを閉めるべきだった。

友「お前でも悩む事があるのか。でも、正直羨ましいよお前が」

男「はぁ?なんで?」

友「何つーか全力で生きてるっつーか。俺は窓から侵入とか怖くて絶対できねーよ。すげ~って思う」

笑子「だねぇ。男のバカさはノーベル賞級だね。」

男「馬鹿にされてるとしか思えないんだが」

友「はー、俺もお前くらい後先考えずに行動出来たらなぁ」

友は隣に立っている笑子の横顔をチラリと見るとそう呟いた。

 

460: 名も無き被検体774号+ 2013/10/12(土) 04:26:04.17

保守

7日から更新ないじゃん

 

461: 名も無き被検体774号+ 2013/10/12(土) 12:42:06.69
まあ待とうぜ

 

462: 名も無き被検体774号+ 2013/10/12(土) 12:45:37.41
私は1年でも待つ自信はあるよ

 

490: 名も無き被検体774号+ 2013/10/13(日) 21:37:14.78
まだかなー

 

498: 名も無き被検体774号+ 2013/10/14(月) 02:38:31.80
俺も気になる
ここまで引っ張ったなら是非完結させて欲しい

 

499: 名も無き被検体774号+ 2013/10/14(月) 10:35:54.30
気長に待とうや

 

500: 1 ◆I3cgeKYICg 2013/10/14(月) 14:19:06.13 ID:fJIQY/WNi

放課後
空の鞄を掴み、隣の教室に乗り込む前に数学教師の教えを口に出してみる

男「女さんの笑いのツボを知る。その為には女さんの事をもっと知らなければいけない」

深呼吸をしてから、隣の教室のドアを開く。女さんは窓際の席で一人外を眺めていた

男「や、やあ。いまいい?」

女「・・・あら、釈放されたみたいね。娑婆の空気はどうかしら?」

窓の外から視線をゆっくりと俺に合わせながら言う。心なしか目が座っているように思える。声にも温度がない。

男「しゃ、釈放て。いや、昼の件は謝るよ。ごめん」

女「別に気にしてないわ。貴方の突飛で的外れで変態的行動にも慣れてきた所だし」

言いながら女さんは腕と足を組む。
冷ややかな視線と相成って、まるで尋問されている気分だ。

男「い、や。昼のは、その。言葉のあやと言うか。まあ、本心なんだけどちょっと言い方を間違えたかなと」

女「・・・変態、スケベ、エロエロ星人」

男「いや、そんな下心なんて微塵もないから!純粋に女さんの事をもっと知りたいだけで」

女「・・・いよいよ寒気がしてくるわ。ここがゴッサムシティならアーカムアサイラム送りね」

それから10分間ほど言い訳と謝罪を繰り返すと、ようやく女さんは腕と足を組むのを辞めた。

女「好きな事とか、趣味とかが知りたいんだ。だったら最初からそう言えばいいじゃない」

男「は、はは。そうだね。」

女「で?何から知りたいのかしら?」

男「そうだなぁ、まずは好きな食べ物から」

それから俺は女さんに色々な事を教えて貰った。
好きな事、嫌いな事、苦手な事、子供の頃の夢。
中学の頃、いじめられていた事。今、1人暮らしをしている事。
5年前に両親を交通事故で亡くしていること。

男「・・・ありがとう教えてくれて」

女「わかったでしょ?私なんてつまらない人間なの。私の事なんて知らない方が良かったでしょ?」

男「そんなこと」

女「もう、暗いし私先に帰るね。」

そういうと俺の返答も待たずに、女さんは教室を出て行った。

 

501: 名も無き被検体774号+ 2013/10/14(月) 14:29:12.27
待ってたぜ

 

502: 忍法帖【Lv=20,xxxPT】(1+0:8) 2013/10/14(月) 14:32:28.13
きた!

 

503: 1 ◆I3cgeKYICg 2013/10/14(月) 14:55:51.20 ID:fJIQY/WNi

笑いのツボを知るだけのつもりが、予想外に重い話を聞いてしまった。
俺は女さんを追いかけることも出来ずに、その場に立ち尽くしていた。

俺の両親は仲がいいし、妹とも仲がいい。
家族はいるのが普通で、親が死ぬなんて考えたことも無かった。

両親の話をする時、彼女はとても苦しそうだった。
それでも、俺に話してくれた。

男「つまらない人間は俺の方だよ」

俺は女さんの話に上手く相づちを打てなかった。
彼女の事を受け止めきれなかった。笑わせる事も出来なかった。
本当に情けない。情けなくて涙が出る。

男「ちっ!馬鹿が!俺の良い所は何だよ!言ってみろこの野郎!」

拳を机に叩きつける。

男「後先考えずに行動するところ!じゃねーか!」

教室を飛び出し、女さんを追いかけた。

 

504: 1 ◆I3cgeKYICg 2013/10/14(月) 15:41:30.41 ID:fJIQY/WNi

廊下を走っていると窓の外で今まさに校門を出ようとしている女さんの後ろ姿が見えた。

男「間に合わないか!」

窓を開け、半身を乗り出す。ここは3階だ、地上を見るとその高さに少し目眩がする。

男「行くしかない!」

窓枠に両足を乗せしゃがむ。爪先に力を入れて正面の木に向かってジャンプした。

男「ぐはーっ!っとよし!」

何とか木の太い枝に捕まることが出来た。

バギッ

男「って!うわぁ!」

枝が重さに耐えきれず折れ、俺共々地面に落下した。
木の枝に何度も当たりながら落下したので最終的な衝撃は大した事が無かった。

男「ぐぬぬ。よし、走れば間に合う!」

女さんは校門を出て左に行った。

立ち上がり、埃を払うと駆け出した。

女さんの両親が交通事故で亡くなった事を聞いた時、ショックを受けた。
女さんが中学時代イジメられていたと聞いた時は可哀想だと思った。

でも、それだけだ。

本当にショックを受けて、可哀想な目に合ったのは女さんで、
その時の本当の気持ちなんて本人にしか分からない。
他人を完全に分かること何て出来ない。

でも、きっとお互いを知る事で距離は縮まる。

男「教えてくれたって事はぁ!近づきたいって事ぉ!そうだろぉ!」

 

508: 1 ◆I3cgeKYICg 2013/10/14(月) 16:26:41.79 ID:fJIQY/WNi

校門を出て、左折して、最初の信号の所で追いついた。

男「ハァハァ、ぐはーっ!」

女「って!どうしたの男君!さっきからたった5分でズタボロじゃないの!」

落ちた時に枝で切ったのか、制服はボロボロ、顔や腕には切り傷が出来ていた。

男「い、や。一緒に帰ろうと思ってさ」

女「・・・ふーん?いいけど」

息が整うまで、しばらく無言で歩く。

男「俺は小学生の頃、帰り道でオシッコ漏らしたことがある!」

女「ちょ!な、何をいいだすの?」

男「野球が好きだけどヒジを悪くしたから高校からは、もう辞めた。好きな女優は堀北真希と新垣結衣」

女「な、何なのよ。わけわかんない!」

男「中学時代には自分で考えたカッコイイダークヒーロー物の小説を書いて大量に印刷してから町中の掲示板に貼りまくった事もある!もちろん作者名も本名で書いた」

女「・・・そう」

男「あと、中学2年の時に一年上の先輩に告白した!その場で振られた。」

女「分かったから!何なのよ、その黒歴史暴露は!」

男「いや、俺の事も知ってほしくてさ」

女「もっと普通の事でいいじゃない」

男「いや、ダメだ。女さんには俺の1番恥ずかしい事を知って貰わないとな」

女「な、何よそれ。」

男「あとなー、俺は中学2年までサンタを信じてた!それで友達に真実を聞かされて親に確認したらあっさり認められて、一晩泣きはらした!」

女「あはははは!」

 

509: 名も無き被検体774号+ 2013/10/14(月) 16:36:31.21
笑った……

 

510: 名も無き被検体774号+ 2013/10/14(月) 18:05:18.82
泣いた

 

513: 忍法帖【Lv=21,xxxPT】(1+0:8) 2013/10/14(月) 22:44:21.01
やべ、泣きそう
小説化しろ

 

527: 名も無き被検体774号+ 2013/10/16(水) 00:38:10.05
続きはよ

 

528: 1 ◆I3cgeKYICg 2013/10/16(水) 01:29:06.80 ID:gfC0sop9i

男「はー。自分で話してても恥ずかしいな。これは」

心なしか体温が上がった気がする。

女「男君は歩く黒歴史だね」

男「なんつー酷いネーミング。」

女さんは、言葉にするのも辛い過去を俺の為に話してくれた。
過去の出来事って割り切れるほどに時間も経ってないし、
きっとまだ彼女を苦しめている。

それでも、俺に話してくれた。それは、きっと俺を信頼してくれているからだ。
そして、俺に期待しているからだ。

「知る事で宝物が手に入るかも知れないけど、その分リスクも伴うの。」

笑子の言葉を思い出す。

俺はこの先、何があっても、どんな辛い出来事が起きても、絶対に女さんだけは裏切らない。
女さんを傷付ける様な事は絶対にしない。そう、心に決めた。

男「あーあと、小学生の修学旅行で買った木刀を中学2年の時にしばらく帯刀して登校してたなあ」

女「う、うわぁ。それはひく。てか、中学2年の頃ヤバいね」

男「ちょ、そんなにマジで引かないでー。」

 

533: 1 ◆I3cgeKYICg 2013/10/16(水) 20:38:09.05 ID:AnfRkVv2i

T字路に差し掛かかると女さんは右方向だという。俺は左なのでお別れだ

男「気付いてるかな?」

女「え?何が?」

男「さっきから、女さんはずっと笑ってる」

一瞬驚いた顔をすると、すぐに手で口元を隠した。
顔も500度で熱したフライパンみたいに真っ赤だ。

女「へ、変だった?」

男「え?別に、普通だったけど」

女「自然だった?引きつってなかった?」

妙に必死な顔でそんな事を聞いてくる。

男「う、うん。自然だったけど」

それを聞くと、本当に安心したように息を吐き、
今まで見たことがないくらいに柔らかく微笑む。思わず見惚れてしまう。

女「良かったぁ。」

男「な、なんだよ、急に。変な女さんだな」

女「そうなんだ。自然に笑えてたんだね。そっか」

1人でブツブツと同じ言葉を繰り返し、1人で何かを納得している。
一体どうしたんだ?

女「あ、じゃあ、また明日」

男「え?あ、うん。また明日」

別れた後も、何度か振り返りながら歩いた。
心の中で『振り向け』って叫ぶと驚いた事に本当に女さんは振り返ってくれた。

女「ありがとう!」

大きな声で、女さんはそう叫んだ。
何の事かは分からないけど、嬉しくて帰り道はnobodyknows+のココロオドルを歌いながら帰った。

男「エンジョーイ! 音楽は鳴り続ける イッツジョイン 届けたい胸の鼓動!コッコロオドルアンコールわかす Dance Dance Dance」

散歩中のババア「READY GO」

 

536: 名も無き被検体774号+ 2013/10/16(水) 21:48:43.33
散歩中のババアでワラタ

 

537: 1 ◆I3cgeKYICg 2013/10/16(水) 22:24:54.64 ID:AnfRkVv2i

明太子パスタと豚汁という不思議な組み合わせの夕ご飯を食べながら、
今日の出来事を思い出していた。
私の過去の話を男君は真剣に聞いてくれた。
同情するでも説教するでもなく、ただ真剣に聞いてくれた。

嬉しかった。

そして

すぐに後悔した。

きっと、こんな暗い話を聞いたら男君は私を避ける。
今までみたいに気軽に話しかけてくれるわけがないって、そう思って悲しかった。

だから、私は逃げ出した。私は本当にずるい。
避けられる前に避けようとするんだから。でも、男君の顔を見るのが怖かった。

赤色の信号をボーッと眺めてると、
後ろから男君に声をかけられてジムキャリーみたいに心臓が飛び出すんじゃないかと思った。
ボロボロでグチャグチャの男君は昔みた戦隊ヒーローみたいでかっこよかった。

「俺は小学生の頃、帰り道でオシッコ漏らしたことがある!」

突然の黒歴史披露が始まり、最初は戸惑ったけど、すぐに分かった。

男君なりに私を励まそうとしている。

その事に気が付いた時、心が軽くなるのを感じた。

自然に笑うことが出来た。

女「私、好きな人が出来たんだよ」

 

540: 名も無き被検体774号+ 2013/10/17(木) 12:14:22.19
なんか目と鼻にツーンと来た
玉葱無いのに

 

542: 名も無き被検体774号+ 2013/10/17(木) 19:25:12.13
映画化決定

 

543: 1 ◆I3cgeKYICg 2013/10/18(金) 00:00:01.41

家に着くと珍しく親父が早く帰っていた。夕飯前から野球を見ながら一杯やっている。

親父「おう。今日も世界は平和だな。」

男「その様子だと、巨人がリードしてるみたいだね」

親父「巨人が勝てば世界は平和。こんなに良い事はないってな!ガッハハハ!!」

母「もう!あんまり飲み過ぎないで下さいよ?あなた弱いんだから」

上機嫌な親父とは反対に妹はソファでむくれている。

妹「あーぁ、私ドラマみたいのにー。」

男「なんだ?またあの推理物のか?」

妹「うん。あーぁ、つまんなーい」

親父「もー、妹ちゃんも一緒に見よーヨォ!ほら、パパのお膝にお座りして仲良く巨人を応援しょ?」

妹「ブッー!巨人なんか負けちゃえ!」

妹は舌を出しながらティッシュの箱を親父に投げつける。

母「ほらほら、そろそろご飯が出来ますよ?」

なんて事ない、いつもの風景だ。
当たり前のようにリビングに家族が集まって、今日一日の出来事を語り合う。
 たまに鬱陶しい時もあるけど、有るのが当たり前で無くてはならない空間。

男「・・・女さんには、ないんだよな」

妹「ん?お兄ちゃん、何か言った?」

男「いや。なんでもないよ?あ、母さん、俺も何か手伝うよ」

母「あらあら、珍しいわねぇ。じゃあ、机の上を拭いてくれるかしら?」

男「分かった」

妹「あ、私もお味噌汁器にいれる!」

母「あら、ありがとぅ。いい子ねぇ。」

親父「おぉ?感心感心!!どれどれ、もう一杯飲もうかねぇ?ガッハハハ!」

母「あなたも少しは手伝いなさい!」

親父「は、はい!分かりました!」

 

549: 名も無き被検体774号+ 2013/10/19(土) 09:35:11.36 ID:rF0zyxudi

笑ったこと
モノマネ、用務員さん、蛍光灯の交換、変なおじさん、黒歴史。

部屋に戻り、思いつくままに女さんが笑った事をノートに書いてみる。

男「こんなんで笑いのツボがわかるのか?」

一行空けて、次は女さんの好きなものを書くことにする。

好きなもの
イチゴ、ショートケーキ、猫、映画、パフェ、遊園地

男「何というスイーツ(笑)。いや、笑ってはいけない、笑わせるんだからな。さてと、次は」

嫌いなもの
ニンジン、ピーマン、虫、下ネタ

男「子供かよ!うーん、やっぱり下ネタは嫌い、と。次は」

女さんの性格
内気、強がり、すぐに泣く、照れ屋

男「こんな所か。・・・あ、忘れてた」

凄く優しい。

男「うーん、とりあえず俺の知ってる女さんはこんな感じかな?」

改めて書いた文字を眺めても、女さんの笑いのツボが見えてこない。
笑ったときの状況を思い出してみても、何が面白かったのか良く分からない。

男「これは、明日数学教師に相談だな。」

 

550: 1 ◆I3cgeKYICg 2013/10/19(土) 09:49:16.08 ID:rF0zyxudi

数学教師「・・・なるほど」

翌日、昼休みになると職員室の数学教師の元に駆け付け昨日のノートを見せた。

男「これでなにか、分かりますか?」

数学教師「男君、まあ座って下さい。今、コーヒーを入れますから」

そういうと紙コップに粉末コーヒーを入れポットからお湯を注ぐ。

数学教師「本当は挽きたてのコーヒーを賞味して頂きたいのですが。これで勘弁して下さい。どうぞ。」

男「あ、ありがとうございます」

黒い液体が入った紙コップを受け取り、仕方なく口にする。苦い。

男「そ、それで、女さんの笑いのツボは」

数学教師「そうだ、国語の先生から頂いたチョコレートがあります。せっかくですので一緒に食べましょうか」

数学教師は引き出しからチョコレートを出すといそいそと菓子受けに入れ、一つつまみ口に運ぶ。

数学教師「とても美味しいですよ。」

男「先生!そんなのどうでもいいから!アドバイスを下さい!」

数学教師「男君、笑いは心のゆとりから生まれます。緊張していたり、焦って笑わせようとしていては、いくら面白いネタでも相手には伝わらないのですよ?」

男「は、はい。すみませんでした。」

数学教師「ふふふ。とにかく、一息入れましょう。」

 

551: 1 ◆I3cgeKYICg 2013/10/19(土) 10:15:08.63 ID:rF0zyxudi

それからしばらくの間、何も考えずにチョコレートをつまみながらコーヒーをすすっていた。
苦いコーヒーに甘いチョコレートは実にあっている。

数学教師「さてと、そろそろ本題に入りましょうか。その前に、この笑ったことに関してもう少し詳細に説明して下さい」

男「は、はい」

言われるままに、女さんが笑った時の状況を事細かに話した。

数学教師「・・・不条理ですね」

男「え?何ですか?」

数学教師「例えばノドが乾いたので自動販売機で飲み物を買うとします。120円を入れてコカコーラのボタンを押しました。しかし、受け取り口から出てきたのは缶コーヒーでした」

男「は?」

数学教師「面白いですか?」

男「いや、面白くはないと思います」

数学教師「しかし、そういう予測不能な現象におかしみを覚える人はいます」

男「予測不能な現象ですか」

数学教師「私の考えでは、女さんの笑いのツボはこの不条理にあるとみて間違いないでしょう。」

思わず持っていた紙コップを落としそうになる。
思い返してみると、木から降りられなくなった時も、蛍光灯の交換の時も、
変なおじさんの時も、確かに予測不能な現象だった。
そして、その時女さんは確かに笑っていた

数学教師「不条理とは非常に高度な笑いです。現に男君も計算して笑わしたわけではないのでしょう?」

 

552: 1 ◆I3cgeKYICg 2013/10/19(土) 10:19:36.33 ID:rF0zyxudi

不条理の笑い。女さんの笑いのツボは分かった。
しかし、これを狙ってやるのは非常に難しい気がする。

数学教師「私は合理的に物事を考えてしまうので、不条理の笑いは少し苦手です」

数学教師は眼鏡を外し、コーヒーで曇った箇所をメガネ拭きで拭き取る。

数学教師「笑う前に考えてしまうからです。何故缶コーヒーが出てきたのかを。そして、自分なりの結論を出します。補充の時に間違えたんだな、と。」

俺なら何も考えずに缶コーヒーを飲むだろう。

数学教師「女さんは、とても感性の鋭い女性なのだと思われます。」

男「先生!俺は計算して女さんを笑わしたい!どうすればいいですか?」

数学教師は指で眉間を揉み、深いため息をついた。

数学教師「申し訳ありません。先程も言ったように、私は不条理が苦手です。少し考えてみますが直ぐには答えがでそうにありません」

 

554: 1 ◆I3cgeKYICg 2013/10/19(土) 11:18:51.41 ID:rF0zyxudi

職員室から出るとそのまま屋上に向かった。誰もいないと思っていたら、笑子がいた。

男「お嬢様。お風邪を召されますよ?」

笑子はいつかの俺みたいに一人で寝転がり空を眺めている。

笑子「そう思うのなら毛布の一つでも持ってきたらどうなの?気が利かないわねぇ。」

男「おやおや、うっかりしておりました。私ももう年ですかねぇ」

笑子の隣に俺も寝転ぶ。

笑子「私、告白された」

男「これはこれは、オモテになるようで。」

冗談めかして言ったが、内心驚いた。
あの奥手な友がこんなに早く告白するとは思わなかった。

笑子「あーぁ。もてる女は辛いのだ」

男「どうすんだよ?受けるのか?」

笑子「あははは。迷ってるよ。」

心なし笑子の笑い声がいつもよりも弱い気がする。

男「迷うことないぞ?あいつはいい奴だ。保証するよ」

笑子「あはは、誰かさんと勘違いしてる。」

男「え?友じゃないのか?」

笑子「サッカー部の先輩だよ。」

 

559: 1 ◆I3cgeKYICg 2013/10/19(土) 18:57:57.29 ID:GDRtGkpOi

男「や、辞めといた方がいいんじゃないか?サッカーやってる奴なんてアレだぜ?イケメンだぜ?」

笑子は男と女と言う垣根を越えた友達で大事な存在だ。友だって何でも話せる親友だと思ってる。

笑子「うん。本当カッコイイ人なんだよ。あはは。参っちゃったなぁ」

男「と、友は知ってんのか?そ、の。お前が告白されたってことを」

笑子「知らないよ。言ってないからね。」

男「そ、そうか。まだ、その先輩に返事する必要ないと思うぞ?うん。待たせとけって!」

笑子「明後日までに返事欲しいって。」

男「え!明後日?」

時間がない。すぐにでも友にこの事を知らせないと。

男「わ、悪いな。急用が出来た!先に教室戻る」

立ち上がり、急いで屋上を後にした。

 

560: 1 ◆I3cgeKYICg 2013/10/19(土) 19:35:56.33 ID:GDRtGkpOi

友「そうかよ」

教室に戻り、今聞いた事を全て友に伝えた。

男「お前、笑子が好きなんだろ!このままだと、笑子はサッカー野郎に取られるぞ!」

周囲の目も気にせず、俺は友の肩を掴み声を張り上げた。

友「それは笑ちゃんの問題だ。俺がどうこう言うことじゃねーよ」

男「お前何を言ってるんだよ!笑子がサッカー野郎と付き合う事になって!それでいいのかよ!」

友は俺の手を払い、席に座る。

友「笑ちゃんがいいなら、俺はそれでいい。」

友の言葉とは思えないほど、冷静な言葉に頭に血が上り、思わず友の胸元を掴み引き上げた。

男「ふざけんな!好きなんだろうが!」

「ちょ、ちょっとやめなよ」「はいはい、ちょっとカメラ止めて」「ここ後でカットね」

友「離せよ、お前には関係ないだろ」

男「関係ないだと?今、関係ないって!そう言ったのか!」

友「そうだ。これは、笑ちゃんの問題だ。俺にもお前にも関係ないだろ」

男「・・・分かった。悪かったな」

手を離し、ざわつく教室の中、自分の席に戻った。

 

563: 名も無き被検体774号+ 2013/10/19(土) 22:19:00.44
楽しくよんでまーす

 

567: 1 ◆I3cgeKYICg 2013/10/20(日) 15:37:52.44 ID:OVhFEu+Qi

関係ない、か。

5時限目の授業中、さっきの友の言葉が頭の中で何度もリフレインしていた。
友の事を友達だと思っていたのは俺だけで、
友は俺の事を友達だなんて思っていなかったのかも知れない。
そんな事まで考えてしまう。
笑子にも言われたけど、俺は本当に女々しい所がある。

キンコーンカーンコーン

いつの間にかチャイムが鳴っていて、授業は終わってしまった。
友の方を見ると、ちょうど席を立って廊下に出て行くところだった。

笑子「男、ちょっといい?」

友の後を追いかけようと席を立つと、笑子に声をかけられた。

男「・・・笑子」

笑子「友達から聞いた。友君と喧嘩したんだってね。」

男「・・・」

笑子「私の事と、関係あるの?」

男「関係ない。これは俺とあいつの個人的な問題だ」

まるでさっきの再現だ。思わず苦笑してしまう。

笑子「関係なくなんてないよ!2人とも私の友達だもん!関係あるよ!」

男「分かってる。俺だってそう思ってる。心配すんな」

友達だからこそ、大事に思ってる人だからこそ、本心を言えない事もある。
余計な心配をかけたくないからだ。
何となく友の気持ちが分かった気がした。

男「ちょっと、友と話てくる。お前は心配しなくていいからな」

 

570: 1 ◆I3cgeKYICg 2013/10/20(日) 16:28:16.80 ID:OVhFEu+Qi

廊下に出ても既に友の姿はなかった。

女「あ、男君」

廊下でばったり女さんに会ってしまった。
不条理の笑いという数学教師の言葉が咄嗟に頭に浮かぶ。

男「や、やあ。女さん、あ、ごめんね。今日一緒に弁当食べれなかった」

女「・・・別に、気にしてないわ」

少し口調が冷たいのは気のせいだと思う。

女「男君、何かあった?」

男「へ?何で?」

女「目が泳いでるし、落ち着きがないよ。それに、今日、一度も私に会いに来ないなんて、その、へ、変じゃない」

男「あ、いや。その、実は」

笑子が告白されたこと、その事で友と言い合いになってしまったことを全て話した。

男「友は、笑子の事が好きなんだよ」

女「友君の考え方は正論よ。自分の事は自分で決めるべきなんだから。」

男「ま、まあ、そうだけど」

女「友君は、きっと耐えているのよ。」

男「え?耐える?」

女「本当は、貴方の話を聞いて、すぐにでも笑子ちゃんに気持ちを打ち明けたかったんだと思う。でもね?今、そんな事をしたら、きっと笑子ちゃんは、今よりもっと悩むと思うわ。」

男「・・・あ」

女「友君は、笑子ちゃんが答えを出すのを待っているのよ。歯を食いしばって必死でね」

 

581: 1 ◆I3cgeKYICg 2013/10/21(月) 12:11:59.82 ID:VHN54VRwi

数学教師の言った女さんが感性が鋭いというのは、本当らしい。
何故か目の前の女さんが歯を食いしばっている。
人の気持ちをまるで自分の事のように感じてしまうのかもしれない。

これじゃあ、生き辛いだろう

大体の人間は自分の事だけで精一杯だ。
人の気持ちなんて考えない方が楽に生きていけるに決まってる。
きっとそれが、器用に生きていくって事だと思う。大人ってのは、つまりそういうのが出来る奴らなんだと思う。

そういう意味だと、女さんは子供。それもかなり幼い子供だ。
きっと、俺なんかよりもずっと。

男「女さん、口に指を入れて両側に広げながら、文庫文庫文庫って言ってみてよ」

女「は?どうしてよ」

男「いいことがあるよ。」

渋々といった顔で、人差し指を口にいれ、両側に広げる

女「うんこ、うんこ、うんこ」

「え?なに、やだぁ」「しょ、しょうもな」「カレー食ってる時にウンコの話するなとあれほど」

男「ドワッハハ!」

 

584: 名も無き被検体774号+ 2013/10/21(月) 14:13:34.36
小学生かwwww

 

587: 1 ◆bnEvq9ODf6 2013/10/21(月) 20:03:49.22 ID:ZqtvFw4Li

女「・・・は、はらはったわね!」

男「い、いや。ヒィヒィ、べ、別に、ブワッハハハハ。からかってなんかないさ。ヒィヒィ」

女「はらいなはらひっへも、へっほふろふなひわほ」

相当パニクってるのか、女さんはまだ口を指で広げたまましゃべっている。

男「アハハハハハ!ブワッハハ!だ、ダメだ。笑いすぎて腹がいたい。カハッカハッ」

まさか俺の方が女さんに笑わされるとは、世の中分からないものである。

男「ハァハァ、く、くく。」

女「い、いくら何でも笑いすぎよ!」

男「ご、ごめん。」

真顔を作ろうと努力しても、どうしても口元が緩んでしまう。

男「ま、まあ。その、女さん。面白かったよ」

女「笑わすつもりなんてなかったわよ!全く、本当に意味不明よ男君は」

男「ははは。でも、ありがとう。元気出たよ。」

女「・・・ふん、よかったわね」

女さんは少し照れた様にそっぽをむき、唇をとんがらせながら言った。

男「じゃ。友、探しにいくからさ!」

女「う、うん。・・・仲直りしなさいよ」

男「うん。」

友の行く場所には大体目星が付いていた。

 

589: 1 ◆I3cgeKYICg 2013/10/21(月) 20:25:44.24 ID:ZqtvFw4Li

コンコン

友「・・・入ってます」

予想通り、友は3階トイレの一番奥の個室に入っていた。友は胃腸が弱いのか、良くトイレにこもる。

俺「よ、よう。俺だ。その。調子はどうだよ」

友「・・・よくはないね」

声が低い。やっぱりさっきの事をまだ怒ってるんだろう。

俺「その、さっきは悪かった。謝るよ。ごめん」

友「いや、もういいよ。気にしてない」

俺「そうか。それにしても、お前も男なんだな。見直した」

友「・・・は?」

俺「俺が来る前からずっと歯を食いしばって耐えてたのか?」

感の鋭い友の事だ、笑子が告白された事にもすぐに気付いていたかもしれない。

友「お、お前、何を」

男「心配すんな。笑子には言わない」

友「ば!言ったら殺すぞ!

【2ch長編SS】男「好きです。つきあってください」 女「・・・条件がある」(3)

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転載元:http://hayabusa3.2ch.net/test/read.cgi/news4viptasu/1379184384/

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